「SaaSや便利な業務ツールを導入したのに、なぜか現場からのチャット連絡が一向に減らず、結局自分がすべて判断している」と悩んでいませんか。
ツールを入れても連絡が減らないのは、ツールの機能不足ではなく「情報確認の構造」が変わっていないからです。この記事では、経営者が情報のハブになってしまうボトルネック状態から抜け出し、連絡負担を根本から減らすための「自社システム開発」の考え方と判断基準をお伝えします。
SaaSをいくつ入れても現場の「連絡」が減らない理由
結論から言うと、SaaSは「特定の作業」を効率化するだけで、部署間や担当者間の「情報の受け渡し」という構造自体を変えるものではないからです。
業務効率化のために市販のSaaSを導入したはずなのに、現場からは「〇〇の件、システムに入力しました。確認をお願いします」「このイレギュラーなケースは、システム上どう処理すればいいですか?」といった連絡が飛び交っていないでしょうか。
紙や口頭でのやり取りがデジタルに置き換わっただけで、結局「誰かに確認して指示を仰ぐ」という手間はそのまま残っています。SaaSを入れても連絡が減らない?経営者の「情報ハブ化」を解消するシステム開発の視点から見ると、システムに入力する作業が増えた分、かえって現場の負担が重くなっているケースも少なくありません。
作業が効率化されても、「AさんがBさんに確認して、Cさんが承認する」という情報のバケツリレーが残っている限り、そのリレーを行う場所がチャットやSaaSに変わっただけで、確認作業自体は一切減っていないのです。
経営者が「情報のハブ」になる構造的な罠
なぜ確認作業が減らないのか。それは、情報が一箇所に集約されていないため、現場が迷うたびに「とりあえず一番詳しい社長に聞く・報告する」というルートが固定化されてしまっているからです。
立ち上げ期は経営者がすべての情報を把握し、細かく指示を出すことが必要かもしれません。しかし、事業が成長してもそのやり方を続けていると、経営者自身が最大のボトルネックになります。「私が確認しないと進まない」「私が答えないと現場が動けない」という状態です。
仕事を任せられないのは社員のせいじゃない。「判断基準」と「情報ルート」の仕組み化でも触れていますが、「社員に任せたいけれど、まだ任せられるレベルではない」と感じる場合、多くは社員のスキルの問題ではなく、判断基準が明確になっていないことが原因です。すべての判断を経営者が下す「ハブ構造」になっている限り、事業が成長して案件が増えるほど、経営者の処理能力は限界を迎えます。
よくある間違い:「もっと良いツール」を探してしまうこと
連絡が減らない原因をツールの機能不足だと勘違いし、新しいSaaSを追加してさらに現場の入力負担を増やしてしまうのは、よくある間違いです。
現場がツールを使わなかったり、ツール外でチャット連絡をしてきたりするのは、機能が足りないからではありません。「ツールに入力したあとに、結局チャットで同じことを報告しなければならない」という二度手間が発生しているからです。
NG例と改善例
- NG例:「今のシステムは使いにくいから、もっと高機能なものを入れよう」とツールを乗り換える。
- 改善例:ツールを探す前に、「誰が・誰に・何を確認しているか」の承認フローを見直す。
「確認依頼は1日1回にまとめること」といったルールで縛っても、現場が求めているのは「早く次の行動に移るための判断」であり、それを待たせるルールは事業のスピードを落とすだけです。
情報の構造を変える「自社システム開発」という選択
既存のツールに業務を合わせるのではなく、自社の理想的な「情報の流れ」を先に定義し、それを実現するためのシステムを自社で作るという視点が必要です。
システム開発で重要なのは、現場の課題から逆算し、経営者が見なくても業務が回り、重要な案件だけ管理画面で把握できる状態を作ることです。
| 比較項目 | ハブ構造のままのシステム導入 | ゴールを見据えた自社システム化 |
|---|---|---|
| 情報の流れ | 現場 → 中間管理職 → 経営者 | 現場 → システム(基準による自動判定) |
| 経営者の役割 | すべての確認と承認 | 異常値の検知と重要な判断のみ |
| ツールの役割 | 連絡のデジタル化 | 業務の標準化と現場での自己完結 |
目指すべきは、経営者が自らチャットやシステムにログインして「何が起きているか」を巡回する状態ではありません。「普段は見なくていい」「ただし、トラブルや大幅な進捗遅れなど、異常値が発生したときだけアラートが飛んでくる」という仕組みです。 「あれどうなった?」と聞くのをやめる。ボール保持者を1人に特定する進捗管理の仕組み化をシステム側で実装することで、情報の構造を根本から変えることができます。
自社で進捗管理システムを作る際の判断基準
では、自社でシステムを開発すべきか、既存のSaaSを使い続けるべきか。 「自社の独自の強みとなる業務フローが含まれているか」と「既存のSaaSを組み合わせるより、長期的な確認コストが下がるか」が重要な判断基準になります。
以下のチェックリストに当てはまる項目が多いほど、自社システムを開発するメリットが大きくなります。
- 複数のSaaSをまたいで情報を確認しており、情報集約に時間がかかっている
- 自社独自の複雑な条件分岐や承認フローがあり、SaaSでは再現しきれない
- 現場が「この場合はどうするのか」とチャットで聞いてくる件数が1日数十件ある
- システム化によって、経営者の確認・判断コストが大幅に下がる見込みがある
- 現状のまま事業が2倍になったら、確実に現場や自分の処理能力がパンクする
「現場が何を判断できずに止まっているのか」「どういう情報があれば、私に聞かずに自己解決できるのか」を起点にすることで、無駄な連絡を減らすためのシステムを設計できます。
大量のLINE対応をなくすため、現在システムを開発しています
私自身、大量のLINEグループの確認で1日が終わる現状を変えるため、重要な案件だけを管理画面で確認できる進捗管理システムを現在開発しています。
ありがたいことに事業が拡大する一方で、私が参加するLINEグループが膨大になり、日々のLINE対応とアポ対応だけで時間が消えていく状況が続いています。「自分が出なくていいアポ」や「自分が返信しなくてもいいLINE」が山のようにあるのに、私が情報のハブになっているせいで、自分が全部判断しなければなりません。
属人化している業務が多く、事業増加に自分の処理能力が追いついていないことに、強い危機感を持っています。
LINEグループの巡回で1日が終わる…。自分が情報のハブになる状態から抜け出す仕組み化でもお伝えした通り、私が情報のハブになっている状態を手放さなければ、会社はこれ以上スケールしません。 現在、この状況を打破するために進捗管理システムを開発しており、経営者が「一番高単価な作業者」から抜け出す方法を実践すべく、仕事量ではなく「情報確認の構造」そのものを変えようと試行錯誤している最中です。
今日からできること:自社の「情報の流れ」を可視化する
まずはシステム化の前に、今の社内で「誰から誰へ、どんな情報がチャットで流れているか」を紙に書き出し、ボトルネックを特定することから始めてみてください。
あなたの会社で「情報のハブ」になっているのは誰ですか? 今日すぐ試せるアクションとして、以下のステップに取り組んでみてください。
- 今日のチャット履歴を見返す 自分宛てに来たメンションや確認依頼をすべて見返し、何件あったかを数えます。
- 質問の内容を分類する 「状況の報告」「判断の依頼」「トラブル対応」など、連絡の内容をざっくりと分類します。
- 「自分に聞かなくても解決できる条件」を書き出す 「この条件を満たしていれば、わざわざ私に聞かずに現場で決めていい」という基準を1つ言語化します。
- 情報のルートを1つ減らすルールを現場に伝える 作成した基準を現場に共有し、「次回からはこの条件に当てはまる場合、報告だけで承認は不要」と伝えて運用を試します。
ツール探しを始める前に、まずは「情報の構造」を整理してみてください。自分がボトルネックになっている状態に気づくことが、本当の意味での業務効率化と仕組み化のスタート地点になります。



